「漏れ」には、孔やクラック、しわ、剥がれ、破れ、嚙み込みなど、さまざまな種類の「欠陥」があります。気密性・密封性が求められる製品はさまざまな業界に存在しますが、それらの漏れ規格は独自に定められている場合が多く、根拠が曖昧です。
製品の安全性や性能を保証期間・有効期間維持するためには、科学的根拠に基づく定量的な評価が求められます。良品として許容できる漏れを決め、不良品の流出を防ぐためには、いくつかの方法により基準を設定する必要があります。
(1) よく発生する欠陥の代表例から決める方法(典型欠陥から決定する)
(2) 実際の不良品を使って決める方法(実欠陥から決定する)
(3) 水没試験などの別の試験方法で実施している基準から置き換えて決める方法
擬似欠陥は、これらを設定し、判定基準となる欠陥の大きさを決めるためのツールとして使うことができます。
擬似欠陥(ピンホール・キャピラリなど)は、欠陥の大きさを規定するために人工的に作られた孔で、「孔の直径・厚み(長さ)・形状」を正確に知ることができます。擬似欠陥を包装容器に接着し、陽性対照(不良品サンプル)を製作することで、孔の直径と厚み(長さ)を保証することができるため、漏れや欠陥を正確に管理することができます。これにより、複数の陽性対照を使っても再現性よく検査することができるため、漏れの許容値の検討に適しています。
JP18により「最大許容漏れ限度」による数値化・定量化が必要となり、医薬品包装に対する漏れ試験への要求はさらに厳しくなりました。製剤を有効期間にわたり保護するため、包装容器の漏れや欠陥を的確に把握する評価手法の確立が望まれてきました。
フクダでは、JP18に準拠した漏れ試験において、擬似欠陥を用いた「最大許容漏れ限度」の設定を推奨しています。「最大許容漏れ限度」の設定には、複数のサンプルを用意し、擬似欠陥を接着した陽性対照(不良品サンプル)と陰性対照(良品サンプル)を利用します。これにより、適格性の高い品質基準のもと包装設計や製造プロセスを構築し、医薬品の品質安定化を実現します。
実際には、写真のようにピンホールを貼付けた陽性対照と陰性対照を複数用意し、導入前の検証実験(有償)を実施します。これにより、漏れ試験装置の判定基準となるパラメータの設定が可能となります。